声区とは
声区とは声帯の振動形態(声帯の震え方)の事をいう。低音域は声帯全体が合わさって発声している。だんだん音が高くなるにつれて全体が合わさっていた声帯が部分閉鎖(声帯の一部が合わさること)になっていく。そして更に高くなると閉鎖の部分はもっと少なくなる。
<胸声(きょうせい)>
声帯が厚く合わさり、全体の長さも長くなる。高い空気圧を利用でき、振動も声帯全体がダイナミックに動くので大きな声を得られる。声帯の表面に沿って粘膜がうねり、倍音をたくさん持った豊かな声。胸声と呼ばれるのは咽頭の下の部分に多く共鳴し、胸から声が出ている印象を与えることからこうよばれている。
声帯が厚みを保ちながら音域を上げていくとこれ以上伸びないという状態になり、もっと高い声を出すには声帯そのものを薄くして、更に声帯の一部分だけを閉鎖した状態にする必要がある。要するにこれが「振動形態を変える」ということになり新しい声区が生まれる。
<頭声(とうせい)>
声帯は胸声より振動数も多く、そして薄く合わさり、部分閉鎖になる。倍音もそれほど多くなく胸の方には共鳴せず咽頭の上の方で共鳴するため、頭の上で鳴っている感じがするのでこう呼ばれる。
<ファルセット>
声帯は頭声よりも更に薄く合わさり、部分閉鎖も少なくなる。声帯は合わさった状態ではなくなり、その縁に沿った粘膜が振動するという人もいる。空気圧は低く強く声量を上げていくことはできない。一般に「裏声」と呼ばれ、頭声区で弱い音量で声を出している時にファルセットと似た響きに聞こえるが、説明の通りそこから音量を上げていけるようであれば「頭声」、音量の変化がないようなら「ファルセット」ということになる。
<地声>
地声 (じごえ)は文字通り「地の声」であり、元来は「普段平素で喋るときの声」といった意味である。
歌唱においては胸声あるいは実声に似た意味で使われるがその場合、声区的に用いられることが多い。また、歌唱のために調整された声に対して声区に関係なく「地声」という場合があり、これには「喉声」(生声などともいわれる)に近い意味合いがあり、「喉が狭い」ことを指す。